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「じぃじの皮」

私が幼稚園のころ、母がよく作っていた料理。
アジに衣をつけ油で揚げて甘酢で炊く。
料理名は知らないが、私は「じぃじの皮」と呼んでいた。

じぃじとは魚の幼児語。
皮は魚の皮。

私はその料理が食卓に上るたび、
魚の皮をはがして食べていた。
皮は甘酢の味が濃厚だった。

アジの身は母がむしってくれた。
食べると時々骨がのどに刺さって痛かった。

口を開けて大泣きする私に、
オロオロする父と母。

左隣に座っている父は、
ご飯を丸呑みすると治ると言い
言われたとおりにやると
すっかり骨がとれた!
顔を見合わせてにっこりと笑う父と私。

また別の時は、
泣きながらご飯を何度も呑みこんでも
骨がとれなかった。

正面に座っている母が
身を乗り出して、私の口の中を覗き込む。
そして指を突っ込んでおっきな骨を取り出した。
「見てごらん、こ~んなにおっきい骨!」
一仕事終えてお互いに顔を見合わせる母と私。

のどが痛くて泣いていたのに、
なぜかほっこりした気持ちになる食卓の記憶。
父と母に囲まれて、嬉しい夕ご飯の光景だ。

それ以来、私は甘酢で味付けした料理が好きだ。
アジの南蛮漬けや酢豚は
面倒でも作って食べている。

自分の好みの味付けのルーツには、
幼いころの記憶がしっかり根付いていた。

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